単語イメトレ
このコーナーでは、今話題のキーワードの時事英単語や、英文を読む上で必須の頻出基本単語などをイラスト入りQ&Aのイメトレ(イメージトレーニング)方式で楽しく、そして覚えやすく紹介・解説をします。 解説・監修は元ジャパンタイムズ編集局長の伊藤サムさん。

※隔週で2~4単語ほどを掲載。
※トップページでは各Quizはランダムに表示されます。ぜひ何度もアクセスして全部のQuizに答えてみてください。
Q:storyはふつう「物語」ですが、物語にはまったく関係がないような意味もあります。何でしょうか?

A:storyは「物語」、そして建物の「」。

中世の大きな建物の外壁には、storyが各ごとに描いてあったことから、「story = 」となったらしい。 



中世の教会の外壁にあるキリスト像。何かのstoryを物語っている。


■storyがなぜ「階」?

建物が何階建てというときの「階」はstoryです。a five-story buildingといえば、「5階建ての建物」です。

「物語」とは無関係に思える意味が、なぜあるのでしょうか? 有力な説は以下のとおりです。

中世では識字率が低かったため、story(物語)を伝える媒体は、文字よりも彫刻や絵などであったはずです。

中世ヨーロッパで教会などの大きな建物では、外壁に彫刻を取り付けたり、窓に物語を描く慣習がありました。これは各階ごとに違う物語=storyが描かれているのが特徴です。ある建物に5つの物語が描かれていれば、つまり階が5つあることになります。このため、story(物語)が、やがて「階」も意味するようになったようです。

This building has three stories.は、「この建物にはstory(=物語=階)が3つある」ということになります。







※イラスト・写真の一部にマイクロソフト社などのクリップアート類を許諾条件に基づいて使用しています バックナンバー
伊藤サム(Sam Ito)
父親は米国サンフランシスコ生まれの日系二世。米国(高校)、英国(ロンドン大学)に留学。一橋大学在学中に英検1級で合格者総代。
ジャパンタイムズ在職中は、報道部にて外務省、大蔵省、首相官邸、自民党などを担当。週刊 ST 編集長、外信整理部長、編集局長などを歴任。その間、英 BBC などにコメンテーターとして出演、雑誌などへの寄稿も多数あり、多様なメディアにかかわるバイリンガル・ジャーナリストとして活躍。2009年NHK講座『ニュースで英会話』講師。
著書に『第一線の記者が教えるネイティブに通じる英語の書き方』『第一線の記者が教える英字新聞の読み方』『伊藤サムのこれであなたも英文記者』、解説・監修に『ニュースダイジェスト ビギナーズ』(以上、ジャパンタイムズ)など。
ウェブサイト「英語の世界」:http://homepage1.nifty.com/samito/