単語イメトレ
このコーナーでは、今話題のキーワードの時事英単語や、英文を読む上で必須の頻出基本単語などをイラスト入りQ&Aのイメトレ(イメージトレーニング)方式で楽しく、そして覚えやすく紹介・解説をします。 解説・監修は元ジャパンタイムズ編集局長の伊藤サムさん。

※隔週で2~4単語ほどを掲載。
※トップページでは各Quizはランダムに表示されます。ぜひ何度もアクセスして全部のQuizに答えてみてください。
Q:dumpとはどんな意味ですか? どんなニュアンスですか?

A:どさっと捨てる、見捨てる



This is a dump. 
(ごみ捨て場)


dumpの基本意味は「(大量のごみなどを)どさっと落とす」です。dump truck(ダンプカー)が、土砂をどさっと下へ落とすイメージです。
「まとめて捨てる」「投棄する」とも訳せます。
名詞では「ごみ捨て場」です


「捨てる」というとthrowが思い浮かぶかもしれませんが、throwは「(空中を)さっと投げる」ことです。dumpはどさっと、下へ置く(put down)ことです。


「どさっと」無神経に捨てるニュアンスから、交際相手を「ふる」場面では必ず使われます。彼氏や彼女をダンプカーから、ごみ同然にごみ捨て場にどさっと捨てる情景を想像してください。
人が落ちて「どさっ」と音が聞こえましたね。それがずばり、dumpのイメージです。
恋人を捨てる場合は「ふる」と訳しますが、そのほかの人間を捨てる場合には、「お払い箱にする」「見捨てる」「解雇する」「首にする」と訳します。また、政策や考えを「捨てる」という場面でも使います(get rid of)。


時事英語でもよく登場します。
Rockies dump Hurdle
(ジャパンタイムズ、2009年5月31日)
これは米大リーグのColorado Rockiesが、Clint Hurdle監督を「解雇」した、という見出しです。


「ダンピング」もdumpから来ています。昔、日本のメーカーは米国企業によくdumping(ダンピング、不当廉売)で告発されました。米国市場内へ安く大量に「どさっ」と落とすかのように販売したことが、貿易摩擦に発展したものです。 現在では中国のメーカーがたびたびdumping告発の標的になっています。

※イラスト・写真の一部にマイクロソフト社などのクリップアート類を許諾条件に基づいて使用しています バックナンバー
伊藤サム(Sam Ito)
父親は米国サンフランシスコ生まれの日系二世。米国(高校)、英国(ロンドン大学)に留学。一橋大学在学中に英検1級で合格者総代。
ジャパンタイムズ在職中は、報道部にて外務省、大蔵省、首相官邸、自民党などを担当。週刊 ST 編集長、外信整理部長、編集局長などを歴任。その間、英 BBC などにコメンテーターとして出演、雑誌などへの寄稿も多数あり、多様なメディアにかかわるバイリンガル・ジャーナリストとして活躍。2009年NHK講座『ニュースで英会話』講師。
著書に『第一線の記者が教えるネイティブに通じる英語の書き方』『第一線の記者が教える英字新聞の読み方』『伊藤サムのこれであなたも英文記者』、解説・監修に『ニュースダイジェスト ビギナーズ』(以上、ジャパンタイムズ)など。
ウェブサイト「英語の世界」:http://homepage1.nifty.com/samito/