単語イメトレ
このコーナーでは、今話題のキーワードの時事英単語や、英文を読む上で必須の頻出基本単語などをイラスト入りQ&Aのイメトレ(イメージトレーニング)方式で楽しく、そして覚えやすく紹介・解説をします。 解説・監修は元ジャパンタイムズ編集局長の伊藤サムさん。

※隔週で2~4単語ほどを掲載。
※トップページでは各Quizはランダムに表示されます。ぜひ何度もアクセスして全部のQuizに答えてみてください。
Q:この動作を表す英単語を当ててください。


A:この動作はswipe (a card)です。




swipeという単語は、姉妹語であるswing(スイングする、振る)やsweepに似ています。
swipeのコア(中核)意味は、腕などを「大きく振る」こと。その結果、何かが起こります。
「大きく振る」ことから派生した、swipeの代表的な訳語は次の3つです。
(1) ~を強打する
(2) ~をかっぱらう、盗む
(3) (カードを読み取り機に)通す

(1)は腕などを「大きく振って」相手に強く当てる(強打する)こと。猫がケンカで、前足を大振りして「バシッ」と叩くイメージです。
(2)は腕を「大きく振って」他人のモノをサッと取る(かっぱらう)こと。
(3)はカードを「大きく振って」機械に通すこと(slide through)。これは新しく発生した派生意味ですが、現代ではとても身近になりました。
ジャパンタイムズ社員だった時代、私は毎日、出社時と退社時にタイムカード機に社員証カードをswipeしていました。また、swipeし忘れる同僚がかなりいたので、彼らに"Don't forget to swipe."とよく言いました。

近年はお店などでもswipeする機械が増えました。swipeという単語を知らないと、海外生活はかなり不便になるでしょう。ATMでおカネをおろせないかもしれません。

米国のオバマ大統領は、米議会での就任演説が終わった20分後に、書類に高級ペンでサインしました。彼の最初の仕事でした。
この署名のとき、オバマ大統領は
“I was told not to swipe the pen.”(ペンを盗むな、と言われたんだ)
と言って周囲の関係者を笑わせました。
就任式の前に担当者から、「就任直後にサインしていただく書類がありますが、その際に決してペンを持ち帰らないでください。政府の備品ですから!」と言われていたようです。このようなセレモニーのあとは、サインしたペンをそのままポケットに入れて記念品として持ち帰ってしまう政治家が多いのでしょう。

※イラスト・写真の一部にマイクロソフト社などのクリップアート類を許諾条件に基づいて使用しています バックナンバー
伊藤サム(Sam Ito)
父親は米国サンフランシスコ生まれの日系二世。米国(高校)、英国(ロンドン大学)に留学。一橋大学在学中に英検1級で合格者総代。
ジャパンタイムズ在職中は、報道部にて外務省、大蔵省、首相官邸、自民党などを担当。週刊 ST 編集長、外信整理部長、編集局長などを歴任。その間、英 BBC などにコメンテーターとして出演、雑誌などへの寄稿も多数あり、多様なメディアにかかわるバイリンガル・ジャーナリストとして活躍。2009年NHK講座『ニュースで英会話』講師。
著書に『第一線の記者が教えるネイティブに通じる英語の書き方』『第一線の記者が教える英字新聞の読み方』『伊藤サムのこれであなたも英文記者』、解説・監修に『ニュースダイジェスト ビギナーズ』(以上、ジャパンタイムズ)など。
ウェブサイト「英語の世界」:http://homepage1.nifty.com/samito/