単語イメトレ
このコーナーでは、今話題のキーワードの時事英単語や、英文を読む上で必須の頻出基本単語などをイラスト入りQ&Aのイメトレ(イメージトレーニング)方式で楽しく、そして覚えやすく紹介・解説をします。 解説・監修は元ジャパンタイムズ編集局長の伊藤サムさん。

※隔週で2~4単語ほどを掲載。
※トップページでは各Quizはランダムに表示されます。ぜひ何度もアクセスして全部のQuizに答えてみてください。
Q:「私は英語を自由に話したい」と英語で言ってください。

A:I want to speak English well/fluently.


【解説】
問題の「私は英語を自由に話したい」とは、「上手に/流暢に話したい」ということでしょう。

これを、I want to speak English freely.と訳してしまうと、特殊な意味になってしまいます。その意味は「英語で(話すことを禁止されることなく)自由に話したい」。第2次世界大戦のとき、日本では英語は敵性語でした。英語が話せる人でも、英語を自由に(freely)話すことは許されない時代でした。次のような状況下なら、freelyは使えるでしょう。
例: May I speak freely, sir?(兵隊が上官に対し「自由に発言する許可をいただけますか?」といった場面で使う)

訳語丸暗記式に「freely = 自由に」と覚えていると、誤解を生む日本語式英語で話してしまいます。

日本語の「自由」は大きく二つの意味があります。①ほかからの束縛が無いこと(free)、転じて②思いのまま、上手に(well)。問題の「英語を自由に話したい」は②「上手に」のケースでしょう。

英語のfreeは主に①です。原意は他者によるコントロールから「自由である」(束縛が無い、not under the control of another、looseな状態、何ものにも縛られず宙に浮かんでいるようなイメージ)こと。転じて「(自由だから)独立している」「無料(料金が無い)」「固定されていない」「気ままに」などと使われます。
例: free from control(コントロールから自由→「コントロールされていない」)、tax-free(税が無い→「免税」)、It’s a free country.(ここは自由な国だ、圧制が無い)。





上図のように、日本語と英語の多くの単語は一対一で対応していません。単語の丸暗記・訳読式勉強は、半分ぐらいは間違った意味を暗記していることになります。このため、いくら勉強しても英語力は中級どまりになってしまいます。上級者になるための単語学習には、文章の中から推測しながら意味をつかんだり、絵カードを見ながら概念をつかんでいくことをおすすめします。 
※イラスト・写真の一部にマイクロソフト社などのクリップアート類を許諾条件に基づいて使用しています バックナンバー
伊藤サム(Sam Ito)
父親は米国サンフランシスコ生まれの日系二世。米国(高校)、英国(ロンドン大学)に留学。一橋大学在学中に英検1級で合格者総代。
ジャパンタイムズ在職中は、報道部にて外務省、大蔵省、首相官邸、自民党などを担当。週刊 ST 編集長、外信整理部長、編集局長などを歴任。その間、英 BBC などにコメンテーターとして出演、雑誌などへの寄稿も多数あり、多様なメディアにかかわるバイリンガル・ジャーナリストとして活躍。2009年NHK講座『ニュースで英会話』講師。
著書に『第一線の記者が教えるネイティブに通じる英語の書き方』『第一線の記者が教える英字新聞の読み方』『伊藤サムのこれであなたも英文記者』、解説・監修に『ニュースダイジェスト ビギナーズ』(以上、ジャパンタイムズ)など。
ウェブサイト「英語の世界」:http://homepage1.nifty.com/samito/