単語イメトレ
このコーナーでは、今話題のキーワードの時事英単語や、英文を読む上で必須の頻出基本単語などをイラスト入りQ&Aのイメトレ(イメージトレーニング)方式で楽しく、そして覚えやすく紹介・解説をします。 解説・監修は元ジャパンタイムズ編集局長の伊藤サムさん。

※隔週で2~4単語ほどを掲載。
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Q: 民主党が「マニフェスト」をどこまで守れるのか注目されています。では英語のmanifestoはどんな意味?

 A:manifestoは「宣言」。方針を「明らかにする」もの、というニュアンス




manifestoとは、公共的な問題について方針・意図を明らかにする「宣言」「声明文」です。平たくいうと、「世の中のみなさん、これから次の目的でこのようなことをしますよ」と社会全体へ明らかにするメッセージ。政党の政策宣言が代表的なものですが、それに限らず、政府・各種団体・個人もmanifestoを出します。
政党の「マニフェスト」を略さずに英語で書くと、election manifesto(選挙前の方針発表、公約集)のことで、文脈がはっきりしていればmanifestoだけで通じます。


manifestoの元になっているのは、形容詞manifestです。manifestとは、何かが目に見えているので「明らかな」ことです。目に見えているなど五感からわかる、あるいは考えればすぐ分かるなどの理由で、判断する必要もないほどにすぐにわかること。「明らかな、明白な、ハッキリした、apparent、clear、obvious」です。
動詞としてのmanifestは、「(考えを)明らかにする」「ハッキリさせる」「(感情などがハッキリと)表れる」です。

語源的には、manifestのmani-はhandという意味で、-festの部分はgrippedという意味。manifestとは「(現行犯で)手を捕まえられた」、つまり有罪であることが「明らかな」がもとの意味です。


イタリア語でmanifestoは「宣言」で、これが英語に入ったもの。イギリスでは、19世紀に政治家が公約を発表した際に、manifestoと呼んだようです。
日本では政党の約束は「公約」ですが、守られないという語感があるので、2003年の選挙ごろから多くの候補者が「マニフェスト」に衣替えしました。
民主党のマニフェストは、あいまいな公約とは違い、数値目標や工程表を含み自民党と対決したため、「政権公約」と訳されました。




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伊藤サム(Sam Ito)
父親は米国サンフランシスコ生まれの日系二世。米国(高校)、英国(ロンドン大学)に留学。一橋大学在学中に英検1級で合格者総代。
ジャパンタイムズ在職中は、報道部にて外務省、大蔵省、首相官邸、自民党などを担当。週刊 ST 編集長、外信整理部長、編集局長などを歴任。その間、英 BBC などにコメンテーターとして出演、雑誌などへの寄稿も多数あり、多様なメディアにかかわるバイリンガル・ジャーナリストとして活躍。2009年NHK講座『ニュースで英会話』講師。
著書に『第一線の記者が教えるネイティブに通じる英語の書き方』『第一線の記者が教える英字新聞の読み方』『伊藤サムのこれであなたも英文記者』、解説・監修に『ニュースダイジェスト ビギナーズ』(以上、ジャパンタイムズ)など。
ウェブサイト「英語の世界」:http://homepage1.nifty.com/samito/