単語イメトレ
このコーナーでは、今話題のキーワードの時事英単語や、英文を読む上で必須の頻出基本単語などをイラスト入りQ&Aのイメトレ(イメージトレーニング)方式で楽しく、そして覚えやすく紹介・解説をします。 解説・監修は元ジャパンタイムズ編集局長の伊藤サムさん。

※隔週で2~4単語ほどを掲載。
※トップページでは各Quizはランダムに表示されます。ぜひ何度もアクセスして全部のQuizに答えてみてください。
Q:「マンハッタンへバス行った」は、by bus、on a bus、in a busのどれが正しいですか? この3つはどう違いますか?

A:どれも正しい。ニュアンスが異なり、byは「手段」、onは「接触」、inは「空間」を表す。


「マンハッタンへバスで行った」の言い方はいろいろ可能です。
I went to Manhattan by bus.
I went to Manhattan on a bus.
I went to Manhattan in a bus.
I took a bus to (go to) Manhattan.
また、a busの代わりに、the busも使われます。


by busもon a busもin a busも日本語では「バスで」「バスに乗って」と訳されますが、ニュアンスは違います。


(1) by busは「バスと呼ばれる交通手段により」という抽象的な意味なので無冠詞になります。徒歩(by foot)、電車(by train)、自動車(by car)や飛行機(by plane / by air)利用に対し、利用したのはバスだという概念を表しています。

byは「~という手段によって」という、抽象性が高い意味なので、byのあとにはaやtheはあまり付けません。なお英語の名詞は、無冠詞の場合は抽象的な概念を表し、冠詞などを付けると具体的なものを表します。

by bus 


(2) on a busは「1台のバスに乗車して(on)移動中である」姿が目に浮かぶ表現です。バスは大きくて戸外にいるような感じがするため、「バスの(床の)上に乗っている」感覚もあります。

on a bus 


(3) in a busはさらに具体的で、「1台のバス内に(in)いる」、物理的にバス内側の壁に囲まれていること。だから、in a busである人の目にはバスの内側や壁が映っています。なお、移動を目的とせずに停車しているバスの中に入っただけでもin a busです。

in a bus 


前置詞には、抽象的なものと具体的なものとがあります。
・byは抽象的意味(手段を示す)が強い。
・onは抽象(交通手段に乗って移動中であること)と具体(~に接触して、~の上に)の両方の意味を持つ。
・inは、本来の「(物理的な空間)の中に」という具体的意味が第一に出やすい語。
※イラスト・写真の一部にマイクロソフト社などのクリップアート類を許諾条件に基づいて使用しています バックナンバー
伊藤サム(Sam Ito)
父親は米国サンフランシスコ生まれの日系二世。米国(高校)、英国(ロンドン大学)に留学。一橋大学在学中に英検1級で合格者総代。
ジャパンタイムズ在職中は、報道部にて外務省、大蔵省、首相官邸、自民党などを担当。週刊 ST 編集長、外信整理部長、編集局長などを歴任。その間、英 BBC などにコメンテーターとして出演、雑誌などへの寄稿も多数あり、多様なメディアにかかわるバイリンガル・ジャーナリストとして活躍。2009年NHK講座『ニュースで英会話』講師。
著書に『第一線の記者が教えるネイティブに通じる英語の書き方』『第一線の記者が教える英字新聞の読み方』『伊藤サムのこれであなたも英文記者』、解説・監修に『ニュースダイジェスト ビギナーズ』(以上、ジャパンタイムズ)など。
ウェブサイト「英語の世界」:http://homepage1.nifty.com/samito/