単語イメトレ
このコーナーでは、今話題のキーワードの時事英単語や、英文を読む上で必須の頻出基本単語などをイラスト入りQ&Aのイメトレ(イメージトレーニング)方式で楽しく、そして覚えやすく紹介・解説をします。 解説・監修は元ジャパンタイムズ編集局長の伊藤サムさん。

※隔週で2~4単語ほどを掲載。
※トップページでは各Quizはランダムに表示されます。ぜひ何度もアクセスして全部のQuizに答えてみてください。
Q:初対面の人とあいさつするときの、文化的・コミュニケーション的なポイントは何でしょうか?

A:friendlyさを示すこと。
具体的には、
目を見る、スマイル、握手、名前、「またお会いしたい」




英会話は異文化間コミュニケーションです。初対面のあいさつについては、決まり文句 Nice to meet you. を覚える以外にも大切なポイントがあります。特にビジネスでは死活的でしょう。

あいさつに関しては、日本文化では礼儀正しい(polite)ことが主要ポイント。これに対して英語圏(特にアメリカ)では、friendlyであることが、礼儀正しさより優先。礼儀正しすぎると、アメリカ人には「慇懃無礼」に見えます。アメリカ(移民文化)では、フレンドリーに接することがマナー。
以下は具体的なポイントです。


■相手の目を見る
eye contactを多めに持ちましょう。日本では初対面の相手をじっと見ると失礼かもしれません。でもアメリカでは素直に相手に関心を示すことが大切。相手を見ないと、I don’t like you.という信号になります。non-verbal communication(非言語的伝達、以心伝心)ですね。


■スマイル

スマイルは、I like you.という信号です。


■握手

日本文化のお辞儀に対応するのが握手。 (攻撃に使う)右手を相手に預けることで、I have no intention of harming you.(危害を加える気はない)などの信号になります。ice breaker(緊張をほぐす手段)となります。


■名前を確認
相手の名前、スペリングや発音を確認しましょう。そして会話の中で使うのがマナーです。アメリカ人は早いうちから相手をfirst nameで呼びます。アメリカ以外の国の方に対しては、まずはlast nameで呼ぶのが無難。
名前を確認すること自体が、I’m interested in you.という信号でしょう。
日本人の名前は英語圏の人には発音しづらく覚えにくいので、会話の中で自分の名前に言及するように工夫すると、相手に覚えてもらいやすくなります。


■「また会いたい」と言う
日本語ほどには、英語では決まり文句を使わないため、表現が多様。また、常套文句(cliche)は嫌われる傾向があります。決まり文句だけで話すのは失礼に聞こえます。
たとえば初対面の人と別れるときに、英会話テキストのとおりに、It was nice meeting you.とだけ言うと、素っ気ないので「さようなら」と聞こえることも。
It was nice meeting you.
「お会いしてうれしかったです(もうこれであなたと会うことはおしまい)」

別れの際の表現ですから、素っ気なく言えば「さようなら」と聞こえるわけです。立食パーティで話していて、相手との話を切り上げて、次の相手に移りたいときなどにも使えます。

初対面お別れ表現を題名にした、”It Was Nice to Meet You”というアメリカ映画(2009年)があります。恋愛物ですが、気に入った女性に”It was nice to meet you.”(= ごめんなさい、おつきあいできないわ)と言われて、主人公のSamはうなだれます。

「(これっきり)さようなら」に聞こえないためには、niceの部分を強調したり、「またぜひお会いしたい」などと付け加えるとよいでしょう。
例:
Well, I have to go now. It’s been nice meeting you, Jason. I hope to see you again soon.

It was nice meeting you, Kelly, and I look forward to seeing you again soon!

「英単語イメトレ」には、初対面のあいさつについて今回を含めて全6項目あります。ほかのものもぜひご覧ください。
※イラスト・写真の一部にマイクロソフト社などのクリップアート類を許諾条件に基づいて使用しています バックナンバー
伊藤サム(Sam Ito)
父親は米国サンフランシスコ生まれの日系二世。米国(高校)、英国(ロンドン大学)に留学。一橋大学在学中に英検1級で合格者総代。
ジャパンタイムズ在職中は、報道部にて外務省、大蔵省、首相官邸、自民党などを担当。週刊 ST 編集長、外信整理部長、編集局長などを歴任。その間、英 BBC などにコメンテーターとして出演、雑誌などへの寄稿も多数あり、多様なメディアにかかわるバイリンガル・ジャーナリストとして活躍。2009年NHK講座『ニュースで英会話』講師。
著書に『第一線の記者が教えるネイティブに通じる英語の書き方』『第一線の記者が教える英字新聞の読み方』『伊藤サムのこれであなたも英文記者』、解説・監修に『ニュースダイジェスト ビギナーズ』(以上、ジャパンタイムズ)など。
ウェブサイト「英語の世界」:http://homepage1.nifty.com/samito/