このコーナーでは、今話題のキーワードの時事英単語や、英文を読む上で必須の頻出基本単語などをイラスト入りQ&Aのイメトレ(イメージトレーニング)方式で楽しく、そして覚えやすく紹介・解説をします。
解説・監修は元ジャパンタイムズ編集局長の伊藤サムさん。
A:「イギリス」はBritainなどが標準的。イギリスはEnglandではないのがポイント。
「イギリス」(英国)は一般的にはBritainです。the United Kingdomなどとも呼びます。
Englandは日本の感覚で言うと本州か関東地方みたいなもので、イギリス内のイングランド地方のこと。南部の州の名前です。これをイギリスとして使うと、ほかの地方の人にとっては失礼なことも。
最大地域のEnglandを英国全体のこととして使ってしまう人もたくさんおり、辞書にも載っています(俗用法)。本来は誤用なので、スコットランド人などにとって失礼です。正式な場面では、Britainなどをお使いください。
イングランドとは、現在の「イギリス」の名の元となったcountryです。
ワールドカップなどを観戦すれば、イングランドにイギリス国旗ユニオンジャックが使われていないのに気づかれるでしょう。独自のイングランド国旗を使用しています。サッカーの母国としてFIFAが例外を認め、英国ではサッカー協会はイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つに分かれています。
イギリスは連邦で、正式名称は
「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」
the
United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland
です。連邦であることを、Unitedが示しています。
この連合王国、つまりイギリスは、
Great Britain島(= England国とScotland国と、Walesという地域)とNorthern Ireland、さらに諸島が、1つにuniteされたkingdomです。
正式名は長すぎるので略してBritain(最も普及)、またはthe United Kingdomかthe U.K.(北アイルランドも含むことを明確に示したい場合など)。
なお1800年にイギリスはアイルランドを併合しましたが、1937年に北部以外は「アイルランド」として独立しました。ですから北アイルランドはイギリスの一部ですが、「アイルランド」は別の国です。
伊藤サム(Sam Ito)
父親は米国サンフランシスコ生まれの日系二世。米国(高校)、英国(ロンドン大学)に留学。一橋大学在学中に英検1級で合格者総代。
ジャパンタイムズ在職中は、報道部にて外務省、大蔵省、首相官邸、自民党などを担当。週刊 ST 編集長、外信整理部長、編集局長などを歴任。その間、英 BBC などにコメンテーターとして出演、雑誌などへの寄稿も多数あり、多様なメディアにかかわるバイリンガル・ジャーナリストとして活躍。2009年NHK講座『ニュースで英会話』講師。
著書に『第一線の記者が教えるネイティブに通じる英語の書き方』『第一線の記者が教える英字新聞の読み方』『伊藤サムのこれであなたも英文記者』、解説・監修に『ニュースダイジェスト ビギナーズ』(以上、ジャパンタイムズ)など。
ウェブサイト「英語の世界」:
http://homepage1.nifty.com/samito/