このコーナーでは、今話題のキーワードの時事英単語や、英文を読む上で必須の頻出基本単語などをイラスト入りQ&Aのイメトレ(イメージトレーニング)方式で楽しく、そして覚えやすく紹介・解説をします。
解説・監修は元ジャパンタイムズ編集局長の伊藤サムさん。
A: The Great Vowel Shift was a major change in the pronunciation of the English language.
大母音推移は、英語の発音の大変化でした。
■発音変化の例
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昔の発音 |
今の発音 |
mice |
ミース |
マイス |
name |
ナーマ |
ネイム |
moon |
モーン |
ムーン |
down |
ドゥーン |
ダウン |
15~17世紀ごろにイギリスで、長母音(long vowels)の舌の位置のほとんどが、いつのまにか順に繰り上がる現象が発生しました。これはthe Great Vowel Shift(大母音推移)と呼ばれています。18世紀まで数段階を経て変化を続けた音もあります。
印象としては、それまではドイツ語のような発音だった英語(古英語)が、現在の英語発音に変異した感じです。
たとえば、[i:]という長母音は、最終的に[ei]という二重母音になりました。
こういった変化によって、英語の発音とスペリングとは直接的には一致しなくなりました。the Great Vowel Shiftが起きた原因については定説がなく、研究が続いています。
英語の歴史において、初期近代英語(Early Modern English)と呼ばれる時代(16世紀ごろから17世紀ごろ)の出来事です。これは過渡期で、18世紀終わりまでに、現代英語とそれほど変わらない発音、文法、スペリングになりました。
伊藤サム(Sam Ito)
父親は米国サンフランシスコ生まれの日系二世。米国(高校)、英国(ロンドン大学)に留学。一橋大学在学中に英検1級で合格者総代。
ジャパンタイムズ在職中は、報道部にて外務省、大蔵省、首相官邸、自民党などを担当。週刊 ST 編集長、外信整理部長、編集局長などを歴任。その間、英 BBC などにコメンテーターとして出演、雑誌などへの寄稿も多数あり、多様なメディアにかかわるバイリンガル・ジャーナリストとして活躍。2009年NHK講座『ニュースで英会話』講師。
著書に『第一線の記者が教えるネイティブに通じる英語の書き方』『第一線の記者が教える英字新聞の読み方』『伊藤サムのこれであなたも英文記者』、解説・監修に『ニュースダイジェスト ビギナーズ』(以上、ジャパンタイムズ)など。
ウェブサイト「英語の世界」:
http://homepage1.nifty.com/samito/